フランスの地方で行われた
ジャパンフェスティバル
毎年夏のはじめにパリ郊外で開催されるジャパンExpoは、
今やフランス中から日本マニアを集める
ヨーロッパ最大の日本イベントとなった。
フランスでの日本人気は高まるばかり。
日本マンガは、従来の西洋マンガbande dessinéeと区別され新語mangaで定着。
世界チャンピオンがいるjudoは、
道徳を教えるスポーツとして小さい子供をもつ親に大人気、
ヘルシーなsushiは、ブッフェの定番メニューのひとつになりつつある。
そんな日本人気が飛び火して、
近年では地方各地でもジャパン・フェスティバルの目白押しである。
主催者や内容はそれぞれであるが、目的は地方の活性化で、
それを支えるのは主催者側の日本に対する熱い想いである。
今回はその一例として、「まさか日本人のいないこんな田舎で!」と驚いた、
とある小さな町の日本祭の様子をお伝えしたい。
このフェスティバルの主催者は地元の空手クラブで、
町の体育館が新築されたのを機会に企画された。
会場の体育館を一周するような形で左右両側に並んだブースの数々。
まず、お馴染みの伝統文化、生花、造園、盆栽、茶道、書道。
ガーデニングが大好きなフランス人は、
次々と熱心な質問をフランス人先生に投げかけている。
茶道ブースでは、着物を着た日本人先生の儀式的な作法を、
みんな神妙に見つめている。
初めて口にしたお抹茶の感想は「苦い!」
書道ブースには、自分の名前や好きな言葉を毛筆で書いてもらうため、
長蛇の列が出来ている。
もらった半紙は「額に入れて自宅のデコレーションにする」と嬉しそう。
日仏友好協会のブースでは、折り紙の講習会。
パリの若者グループは、
日本旅行を奨励する情報提供でフランス各地を巡っているという。
浮世絵コレクションをもつ美術館、鎧兜や刀の収集家たち。
日本関係本の販売、焼き物の展示販売、
それからアジア祭に必ず出没する国籍不明格安グッズの怪しい販売店。
片隅に設定されたゲームコーナーでは
プレイステーションやWiiで遊ぶことが出来る。
この見慣れない新人種に、不審な目を向ける人もいたけれど、
私には彼らの気持ちがよく分かる。
大人の国フランスには、
まだまだ彼らを刺激する若者文化が少ないのだ。
食事は、体育館外で、たこやきと鉄板焼きの実演販売。
会場内には、フランスでの開店を夢見る日本人パティシエ夫妻の、
見事な和菓子と和ケーキの販売、その向かいにはロリータ風マドモワゼルが、
かなり不恰好なおにぎりとラムネを販売していた。
夕方からは、メインイベントとなる
武道のデモンストレーションが行われ、大いに盛り上がって終了。
ちなみに、人口約3000人のこの町で行われた
日本フェスティバルの入場者は、3日間で約1000人。
大成功したイベントは、今後毎年の町の恒例行事となるそうである。